山間部の土地には『土砂災害警戒区域に指定されています。』と言う説明を聞くことがあると思います。土砂災害警戒区域とは何でしょう。更に土砂災害特別警戒区域とは何でしょう。すべての発端は平成11年6月29年に起きた死者24名を出した『広島災害』です。国はこれを教訓に急いで平成12年5月に『土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律』いわゆる土砂災害防止法を公布しました。この中に都道府県は全国の災害危険個所を調べて一定基準のもと土砂災害警戒区域と土砂災害特別警戒区域を指定しなければならないと決められました。平成29年2月28日現在、全国で土砂災害警戒区域が470,892箇所、その内土砂災害特別警戒区域が317,124箇所指定されています。更に数は増えることでしょう。
土砂災害警戒区域は急傾斜地の崩壊等が発生した場合には住民等の生命又は身体に危害が生ずるおそれがあると認められる土地の区域であり、土砂災害特別警戒区域は警戒区域のうち、急傾斜地の崩壊等が発生した場合には建築物に損壊が生じ住民等の生命又は身体に著しい危害が生ずるおそれがあると認められる土地の区域です。土砂災害警戒区域をイエローゾーン、土砂災害特別警戒区域をレッドゾーンと言うこともあります。ではこの二区域の法的、行政上の違いは何でしょう。両方とも市町村は住民に危険の周知、警戒避難体制の整備をしなければなりません。特別警戒区域レッドゾーンでは法的規制があります。その一 住宅地分譲、社会福祉施設、学校、医療施設の建築においては安全確保の要件を満たしているとの都道府県知事の判断による許可が必要です。その二 建築物を新築、改築、増築する前に土砂災害を防止・軽減するための基準を満たすものとの建築基準法による建築確認を受けなければなりません。その三 都道府県知事は建築物の所有者に移転を勧告することができます。勧告は強制力はありません。罰則もありません。防災工事、移転等についての支援措置はあります。
このような情報はどのようにして得られるでしょうか?不動産業者は宅建業法によって不動産の売買にあたって土砂災害警戒区域、土砂災害特別警戒区域内であることを知らせ、その内容について説明する義務があります。また各都道府県のホームページのハザードマップに概略が示されています。土砂災害防止法は改めて日本の国土の3/4は山地であり、急斜斜地の崩壊、地滑り、土石流などの自然災害に見舞われる可能性のある大地に住んでいることを知らしめてくれます。田舎に限らず都会のでも土砂災害警戒区域は意外なところに多く存在しています。このような地域では災害の危険性を認識して市町村の危険情報に注意を払い、日頃から避難場所、避難経路を確認しておく必要があるのでしょう。
2017/04/19
田舎暮らし予備校
土砂災害警戒区域てナニ?